このコラムでは、Ruby on Railsについての最新情報やRails試験に関する内容を取り上げていきます。
開発現場で起きている「汎用API問題」
2026年2月、フロントエンド開発における重要な技術記事が公開されました(※1)。内容は「フロントエンド向けにわざわざ汎用のAPIを構築して苦労を増やしてはいけない」という提言です。この記事の著者は6年間にわたってこのアプローチを実践し、「メンテナンスが劇的にシンプルになり、バグもごっそり減ってパフォーマンスも爆上がりした」と報告しています。
多くの開発現場では、フロントエンドとバックエンドを分離するために「汎用的なAPI」を構築することが当たり前になっています。データベースのテーブルをそのままREST APIとして公開し、フロントエンド側が必要なデータを自由に取得できるようにする。一見すると効率的で柔軟な設計に思えますが、実はこのアプローチが多くの問題を引き起こしているのです。
例えば、1つの画面を表示するために10個のAPIエンドポイントを呼び出す必要があるとします。仮に各リクエストを順次呼び出せば、1件200ミリ秒かかるとしてそれだけで2秒の待ち時間が発生します。並列化すれば合計時間は短縮できますが、依存関係のあるリクエストは順次処理にならざるを得ませんし、並列リクエスト数が増えるとサーバー負荷が上がるため、問題は根本的には解消されません。フロントエンド側では非同期処理やローディング表示の管理に追われ、バックエンド側では想定外の使われ方への対応に苦しむことになります。
(※1)
https://techracho.bpsinc.jp/hachi8833/2026_02_20/156715
https://max.engineer/server-informed-ui-p2
Rails 7.1が実現する「ページ単位設計」の威力
では、どうすればよいのでしょうか。
答えは「そのページで必要なデータだけを、まとめて提供すること」です。これは専門用語でBFF(Backend for Frontend:フロントエンドのためのバックエンド)パターンと呼ばれています。
Rails 7.1は、まさにこのBFFパターンを実現するのに最適なフレームワークです。例えば、ユーザーのダッシュボード画面を表示する場合、従来の汎用API方式では「ユーザー情報API」「投稿一覧API」「通知API」「統計情報API」など複数のエンドポイントを呼び出していました。
しかしRails 7.1を使えば、DashboardControllerというコントローラを作成し、そのページで必要なすべてのデータを1回のリクエストで返すことができます。Rails 7.1で追加された非同期クエリ機能(async_count、async_sumなど)を使えば、複数の集計クエリを並列実行して待ち時間を短縮できます。さらに、Serializerやas_jsonのカスタマイズを活用することで、フロントエンドに渡すJSONを「そのページの表示に最適化された構造」に整形することも容易です(※2)。これだけで、リクエスト数は大幅に削減され、処理時間も短縮されます。
重要なのは、フロントエンド側に「データベースの生データ」ではなく「そのページの表示に最適化されたデータ」を渡すという発想で、Rails 7.1の豊富な機能はこの「最適化されたデータ提供」を効率的に実現するために存在しています。
(※2)https://railsguides.jp/7_1_release_notes.html
なぜ今「基礎から学び直す」ことが重要なのか
このような実践的な開発パターンを理解し活用するためには、Railsの基礎を体系的に理解していることが不可欠です。MVCアーキテクチャの本質、コントローラの役割、ルーティングの設計思想。これらの基礎知識があって初めて、「どこにどんなコードを書けば保守性の高いアプリケーションになるのか」が見えてきます。
ちなみに、2026年2月時点のフリーランス案件データでは、Railsエンジニアの平均単価は83.6万円に達しています(※3)。
しかしこの高単価を獲得できるのは、ただRailsのコードが書けるだけでなく、「アーキテクチャ設計ができる」「パフォーマンス最適化ができる」「保守性の高いコードが書ける」エンジニアです。そして、そうした実践力の土台となるのが、Railsの基礎を正しく理解していることなのです。
Rails 7技術者認定ベーシック試験(※4)は、こうした基礎力を体系的に測る試験です。学習のマイルストーンとして、また、採用の場で「基礎から応用まで理解している」ことを証明する手段として、試験を活用してみてはいかがでしょうか。
(※3)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000116595.html
試験概要は以下の通りです:
- ベーシック試験:受験料10,000円(学割5,000円)、40問60分、7割正解で合格
- アドバンスド試験:受験料12,000円(学割6,000円)、40問60分、7割正解で合格
2025年7月1日から、Rails 7 技術者認定ベーシック試験/アドバンスド試験が始まっています。ぜひ詳細をご覧ください。



