第1回「Rails基礎力を固める 模擬問題で学ぶ試験対策」Railsの基礎

みなさん、こんにちは。

Rails の学習に取り組むとき、多くの人が直面するのは「基本をどこまで理解すればよいのか」といった疑問です。特に試験対策では、MVC アーキテクチャやコマンドの役割といった基礎的な部分が問われることが多く、これらを正しく理解しておくことが合格への第一歩となります。そして、これらの知識は単なる試験対策にとどまらず、実際の開発現場でアプリケーションを設計・運用する際にも直結します。

本コラムでは、「Rails7技術者認定試験」の模擬問題を題材にしながら、基礎知識を整理するとともに「なぜそうなのか」を掘り下げて解説します。試験合格を目指す方はもちろん、実務スキルを底上げしたい方にも役立つ内容だと思います。

【問題1】Rails の設計思想

問題

Rails の設計思想として正しいものを 2つ選びなさい。

  1. Convention over Configuration
  2. Don’t Repeat Yourself (DRY)
  3. Test First, Implement Later
  4. Explicit over Implicit

解説

正解は 1 と 2 です。Rails を特徴づけるもっとも重要なキーワードが「Convention over Configuration(設定より規約)」と「Don’t Repeat Yourself(DRY:繰り返しを避ける)」です。

Convention over Configuration は、Rails があらかじめ用意している「お約束」に従うことで、余分な設定をせずに開発できるという思想です。例えば、コントローラ名を UsersController にすると、自動的に app/views/users/ ディレクトリを参照する、といった仕組みがあります。このような規約のおかげで、開発者は煩雑な設定ファイルを大量に書く必要がなくなり、短時間でアプリケーションを立ち上げられます。

一方、DRY はコードの重複を避け、1 箇所にまとめることで保守性を高める考え方です。典型例はバリデーションです。入力チェックをビューやコントローラに散在させるのではなく、モデルに集約することで、全体の一貫性が保たれ、エラーメッセージも統一されます。

これらは単なるキャッチフレーズではなく、Rails が「生産性の高いフレームワーク」として選ばれる理由そのものです。試験でも頻出のテーマであり、同時に実務での開発効率や品質に直結する思想といえます。

【問題 2】MVC の役割

問題

Rails の MVC アーキテクチャにおいて、データの保存やバリデーションを担当するのはどのコンポーネントか。

  1. Model
  2. View
  3. Controller
  4. Routing

解説

正解は 1. Model です。Model は Active Record を通じてデータベースとやりとりを行い、保存・検索・更新・削除といった操作を担います。さらに、バリデーションや関連付けといったアプリケーションのルールもここに集約されます。

一方、Controller はユーザーのリクエストを受け取り、適切な処理を実行する「司令塔」のような存在です。View はユーザーに返す HTML を生成する役割を担い、Routing は URL をどの Controller に送るかを振り分ける仕組みです。Routing は MVC の一部と混同されがちですが、正確には「リクエストの入り口を制御する仕組み」であり、MVC の 3 要素とは別です。

試験では「Model がデータ処理を担う」という基礎的な確認問題として出題されますが、実務においては Model にロジックをまとめる設計力が特に重要です。初心者は Controller に多くの処理を書きがちですが、それは保守性の低下を招きます。試験を通じて「責務の分離」を意識できるようになると、現場でのコード設計にも活かせるでしょう。

【問題 3】rails new コマンド

問題

次のうち、rails new コマンドの説明として正しいものを選びなさい。

  1. 新しいコントローラを作成する
  2. 新しい Rails アプリケーションを作成する
  3. データベースを初期化する
  4. 新しいモデルを作成する

解説

正解は 2 です。rails new は新しい Rails アプリケーションを立ち上げる際の最初の一歩となるコマンドで、プロジェクトの雛形を自動生成します。生成されるのは Gemfile や Rakefile、config ディレクトリ、app ディレクトリなどで、開発に必要な構成がひととおり揃います。

Rails 7.1 ではデフォルトで SQLite3 がデータベースに設定されますが、-d postgresql などのオプションを使えば他のデータベースも指定可能です。また、フロントエンドの構成を選ぶオプションも追加されており、–css tailwind を指定すれば Tailwind CSS がセットアップされるといった柔軟さがあります。

試験では単に「rails new でアプリを作る」と覚えるだけでなく、デフォルトの挙動や主要なオプションまで問われることがあります。実務においても、チームの環境に合わせてオプションを正しく使うことが求められるため、この段階で仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

目次

まとめ

今回のコラムでは、Rails の試験で頻出する基礎テーマから 3 問を取り上げました。

  • Convention over Configuration と DRY は Rails の根幹思想であり、試験でも実務でも不可欠
  • MVC の役割を正しく理解することで、責務分離の設計力が身につく
  • rails new コマンドは試験でも出題されやすく、オプション理解は実務に直結

模擬問題を通じて学ぶことで、単なる暗記にとどまらず、Rails の思想や構造を「なぜそうなのか」と理解できるようになります。次回も模擬問題を題材にしながら、試験に必要な知識を整理するとともに、日常の開発に役立つ実践的な理解を深めていきましょう。

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全国300か所で通年実施しています。詳細は以下をご覧ください。
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